介護に関わる外部との連絡・調整を効率化する時短テクニック
介護に関わる連絡・調整の負担を軽減し、時間を生み出す
ダブルケアは、介護と子育て、そしてご自身の仕事や生活の両立が必要となるため、日々時間に追われる状況になりがちです。特に親御様の介護が長期化する中で、介護サービス事業者、ケアマネジャー、地域包括支援センター、役所など、様々な外部機関との連絡や調整に多くの時間を取られ、負担を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
これらの連絡・調整業務は、介護の質を維持し、必要なサービスを受けるために不可欠ですが、そのために費やす時間をいかに効率化できるかが、ダブルケアの負担軽減の鍵となります。ここでは、介護に関わる外部との連絡・調整をスムーズに行い、貴重な時間を確保するための具体的な時短テクニックをご紹介します。
連絡先情報を整理・一元化する
まず、介護に関わる全ての連絡先情報を整理し、すぐに取り出せる状態にすることが重要です。
- 連絡先リストの作成: 親御様の主治医、かかりつけ薬局、ケアマネジャー、利用している介護サービス事業所(訪問介護、デイサービスなど)、地域包括支援センター、役所(高齢者福祉課など)、福祉用具貸与事業所などの連絡先(名称、氏名、電話番号、メールアドレス、営業時間など)をリスト化します。
- 共有しやすい形式で保存: このリストを紙媒体だけでなく、スマートフォンの連絡帳や、家族間で共有できるクラウド上のドキュメント(Googleドキュメント、Evernoteなど)で管理すると便利です。緊急時や外出先からでもすぐに確認できます。
連絡先を探す手間が省けるだけで、精神的な負担も軽減され、必要な時に迅速に行動できます。
連絡内容を事前に整理する
外部機関に連絡する際、要件や聞きたいことを事前に整理しておくと、やり取りがスムーズに進み、時間の無駄を省けます。
- メモの習慣化: 何か連絡する必要が生じたら、その場で簡単にメモを取る習慣をつけましょう。「〇〇について、いつまでに確認したい」「△△さんに伝えるべきこと」など、箇条書きでも構いません。
- 質問リストの作成: 電話や面談で確認したいことがある場合は、事前に質問リストを作成しておきます。これにより、聞き忘れを防ぎ、効率的に情報を得られます。
- 状況の簡潔な説明: 連絡相手に現在の状況を伝える必要がある場合、状況の要点を簡潔にまとめます。いつから、どのような状況で、何に困っているのかなど、事実を整理しておくと、相手も状況を把握しやすくなります。
事前に準備しておくことで、電話口で慌てたり、何度も連絡を取り直したりする手間を減らせます。
利用できるツールやサービスを活用する
連絡・調整を効率化するための様々なツールやサービスがあります。
- メールやチャット: 緊急性の高くない連絡や、記録に残しておきたいやり取りには、電話よりメールやチャットが適している場合があります。サービス事業者によっては、専用の連絡ツールを提供していることもあります。
- オンライン面談: ケアマネジャーとの定期的な面談など、対面が必要な場合でも、可能であればオンライン会議システム(Zoom, Skypeなど)の利用を相談してみましょう。移動時間や準備時間を削減できます。
- リマインダーアプリ: 〇月〇日までに連絡が必要、〇時に〇〇さんから電話がかかってくる、といった予定をリマインダーアプリに登録しておくと、忘れる心配がありません。
ご自身のライフスタイルや連絡相手の対応状況に合わせて、最も効率的な連絡手段を選びましょう。
連絡するタイミング・時間を工夫する
限られた時間の中で連絡・調整を行うためには、タイミングの工夫も有効です。
- 移動時間の活用: 通勤時間や、親御様の通院・送迎の待ち時間など、移動中や隙間時間を利用して連絡を入れることを検討します。ただし、個人情報に関わる内容を話す際は、周囲に注意が必要です。
- まとめて連絡: いくつか連絡事項がある場合は、まとめて連絡することで、都度電話をかける手間を省けます。ただし、緊急性の高いものとそうでないものを区別することが重要です。
- 対応時間帯の把握: 相手の機関の営業時間や、担当者が比較的繋がりやすい時間帯を把握しておくと、何度もかけ直す無駄を減らせます。
ご自身のスケジュールや相手の状況を考慮し、効率的な時間帯を選びましょう。
代理や相談先を活用する
一人で抱え込まず、利用できるリソースを活用することも時短につながります。
- 家族との連携: 家族間で連絡先や担当を分担することで、一人にかかる負担を軽減できます。連絡が必要な情報を共有する仕組みを作ることも重要です。
- ケアマネジャーへの相談: サービスに関する複雑な確認や、複数の事業所との調整が必要な場合は、ケアマネジャーに相談し、間に入ってもらうことでスムーズに進むことがあります。
- 地域包括支援センターの活用: どの機関に連絡すれば良いか分からない、制度について詳しく知りたいといった場合は、地域包括支援センターに相談できます。
専門家や信頼できる人に協力を求めることで、ご自身で情報収集や調整に費やす時間を大幅に削減できる可能性があります。
書類や情報のデジタル化と共有
介護に関わる書類や情報をデジタル化し、必要な時にすぐに参照・共有できるようにすると、連絡や確認作業が効率化します。
- 書類のスキャン・写真撮影: 診断書、契約書、領収書など、重要な書類はスキャンしたり、スマートフォンのカメラで撮影したりして画像データとして保存します。
- クラウドストレージの利用: 保存したデータをGoogle Drive, Dropbox, OneDriveなどのクラウドストレージに保存しておくと、自宅以外の場所や、家族間での情報共有が容易になります。
- ファイル名の工夫: 後で探しやすように、ファイル名には内容と日付を明確に含めます(例:
20231027_診断書_〇〇病院
,20231101_訪問介護契約書
)。
物理的な書類を探す手間が省け、外出先からでも必要な情報をすぐに提示できるため、連絡・確認作業の時短につながります。
連絡記録のシンプル化
誰に、いつ、どのような内容で連絡し、どのような回答を得たのかを簡単に記録しておくと、後で確認する際に役立ちます。詳細な議事録を作成する必要はありません。
- 簡単なメモでOK: ノートやスマートフォンのメモ機能に、「〇月〇日 △△さん(ケアマネ)に電話。来週のサービス時間変更について確認。OKだった。」のように、最低限の情報を記録します。
- 共有も検討: 家族で分担している場合は、簡単な記録を共有することで、全員が最新の状況を把握できます。
記録を探す時間が省け、同じ内容を何度も確認したり伝えたりする手間を減らせます。
まとめ
介護に関わる外部との連絡・調整は、時に煩雑で時間を要する業務です。しかし、連絡先の整理、事前の準備、ツールの活用、タイミングの工夫、そして周囲との連携や情報共有を意識することで、その負担を軽減し、効率的に進めることが可能です。
ここでご紹介したテクニックは、どれもすぐに実践できるものばかりです。全てを一度に取り入れる必要はありません。ご自身の状況に合わせて、一つずつ試してみてはいかがでしょうか。連絡・調整業務を効率化し、少しでも多くの時間を確保することで、ダブルケアの負担を軽減し、より穏やかな日々を送る一助となれば幸いです。無理のない範囲で、継続できる方法を見つけてください。