介護グッズの選び方から実践まで:時短につながる活用術
介護グッズの活用で、ダブルケアの時間負担を減らす
介護と子育てを同時に行うダブルケアでは、時間がいくらあっても足りないと感じる場面が多々あります。食事の準備、掃除、洗濯といった家事に加え、親御さんの通院介助や身体的なケア、さらには各種手続きなど、そのタスクは多岐にわたります。
こうした状況において、日々の負担を少しでも軽減し、時間を効率的に使うための有効な手段の一つが「介護グッズ」の活用です。しかし、市場にはさまざまな介護グッズがあり、どれを選べば良いのか、どう使えば時短につながるのかが分かりにくいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、ダブルケア世代の皆様が介護グッズを賢く選び、日々のケアに役立てるための具体的な方法をご紹介します。介護グッズを効果的に活用することで、介助にかかる時間や身体的な負担を減らし、少しでもゆとりを生み出すヒントとなれば幸いです。
なぜ介護グッズが時短につながるのか
介護グッズは単に被介護者の快適さを向上させるだけでなく、介助者の負担を軽減し、特定の作業にかかる時間を短縮する効果も期待できます。
例えば、身体の向きを変えるのが難しい方の場合、体位変換をサポートするクッションやシートを使うことで、介助にかかる時間や労力が軽減されます。また、食事に時間がかかる場合でも、自助食器や滑り止めシートを活用することで、こぼしたりするリスクを減らし、後片付けの時間を短縮できることがあります。
このように、介護グッズは特定の動作や介助プロセスをスムーズにし、無駄な時間や手戻りを減らすことによって、結果的に全体の時短につながるのです。
ダブルケアに役立つ時短につながる介護グッズの例
多岐にわたる介護グッズの中から、特に時短や負担軽減に繋がりやすいものをいくつかご紹介します。
1. 移動・移乗をスムーズにするグッズ
- 簡易スロープ、段差解消プレート: 家の中の小さな段差や玄関の上り框などに設置することで、車椅子や歩行器での移動がスムーズになります。介助者が持ち上げて移動させる負担や危険を減らし、移動時間を短縮できます。
- 移乗用リフト・シート: ベッドから車椅子へ、車椅子からトイレへなど、場所間の移動をサポートします。介助者の力仕事が大幅に減り、安全かつ短時間での移乗が可能になります。設置場所やコストは考慮が必要ですが、介護者の腰痛予防にも繋がります。
- ポータブルトイレ: 寝室などに設置することで、夜間のトイレ介助のために親御さんを遠くまで移動させる必要がなくなります。介助の時間と労力を大きく削減できます。
2. 食事準備・介助を効率化するグッズ
- 自助食器(滑り止め付き、持ちやすい形状など): ご本人が自分で食事をしやすいように工夫された食器です。介助の頻度を減らしたり、食事にかかる時間を短縮したりできる可能性があります。
- 食事用エプロン(使い捨て、ポケット付きなど): 食事中の汚れを防ぎ、着替えや洗濯の手間を減らします。特にポケット付きのエプロンは食べこぼしを受け止め、床掃除の手間を省くのに役立ちます。
- とろみ調整剤: 食事や飲み物にとろみをつけ、誤嚥(ごえん)のリスクを減らします。安全に食事ができるようになり、食事の準備や見守りの際の過度な緊張を和らげることにも繋がります。
3. 入浴・排泄介助の負担を減らすグッズ
- シャワーチェア: 浴室での立ち座りを安全かつ楽に行えるようにします。介助者は不安定な姿勢でのサポートから解放され、安心して介助を進められます。
- 入浴介助ベルト: 浴槽への出入りや、濡れた体勢での移動をサポートするベルトです。介助者の身体的負担を軽減し、短時間での入浴介助を助けます。
- 使い捨ておむつ・パッド: 適切な製品を選ぶことで、交換の手間や洗濯の負担を軽減できます。吸収力の高いものや、簡単に装着できるタイプなど、様々な種類があります。
- 消臭剤・脱臭機: 排泄関連の臭いは介助者の心理的な負担になります。効果的な消臭対策は、後片付けの際の不快感を減らし、スムーズな作業を助けます。
4. 見守りの効率を高めるグッズ
- 見守りカメラ・センサー: 離れた場所にいても親御さんの様子を確認できます。安否確認のために頻繁に部屋を行き来する手間を省き、介護者の精神的な安心にも繋がります。ただし、プライバシーへの配慮は重要です。
時短につながる介護グッズを選ぶポイント
ただ闇雲にグッズを購入するのではなく、以下のポイントを考慮して選ぶことが重要です。
- 現在の介護で「何に一番時間がかかっているか」「何が一番大変か」を具体的に洗い出す: 課題が明確になれば、それに特化したグッズを選びやすくなります。
- 使う人(親御さん)の身体状況や好みに合っているか: どんなに便利なグッズでも、ご本人が使いたがらなければ意味がありません。使いやすさや抵抗感がないかを確認しましょう。
- 介助する人(ご自身)にとって使いやすいか: 複雑な操作が必要なものや、扱いに力が必要なものは、かえって負担になることがあります。ご自身の体力や慣れも考慮に入れてください。
- 設置場所や収納スペースを考慮する: 購入したけれど大きすぎて邪魔になる、収納場所に困るといったことになると、結局使わなくなってしまいます。
- レンタルも視野に入れる: 高価なものや、一時的にしか使わない可能性のあるものは、レンタルサービスを利用すると経済的負担を抑えられます。福祉用具専門相談員に相談すると、適切なアドバイスや試し利用ができる場合があります。
グッズを「使いこなす」ためのヒント
購入した介護グッズを最大限に活用し、時短効果を得るためには、いくつかの工夫が必要です。
- 家族間で使い方を共有する: ご自身だけでなく、他の家族が介護に関わる場合、皆で使い方を理解しておくことが重要です。これにより、誰でも同じように効率的なケアができるようになります。
- 定期的にメンテナンスを行う: 故障や不具合があると、かえって時間がかかったり、事故の原因になったりします。取扱説明書を確認し、適切なお手入れを心がけましょう。
- 必要に応じて専門家に相談する: ケアマネジャーや福祉用具専門相談員は、介護グッズに関する専門知識を持っています。より効果的な使い方や、他の便利なグッズについてアドバイスをもらえることがあります。
まとめ
ダブルケアにおいて、時間という資源は非常に貴重です。介護グッズを賢く選び、日々のケアに取り入れることは、介助者の負担を軽減し、効率的な時間管理を実現するための有効な手段となり得ます。
「何に困っているか」を具体的に考え、それに合ったグッズを選ぶこと、そしてそれを使いこなすための工夫をすることで、介護にかかる時間や労力を減らし、ご自身の時間や休息を確保することに繋がるでしょう。
全てのタスクを一人で抱え込まず、利用できるサービスや便利グッズを上手に活用しながら、ダブルケアを乗り切っていくことが大切です。この記事が、日々のケアを見直し、新たな時短のヒントを得るきっかけとなれば幸いです。