ダブルケアと仕事の両立を円滑に 職場での時間確保とコミュニケーション術
会社員として働きながら、親御さんの介護とお子さんの子育てを同時に行う「ダブルケア」。特に介護が長期化すると、仕事との両立に時間的な制約や精神的な負担を感じる方も少なくありません。限られた時間の中で仕事と介護・子育てを円滑に進めるためには、職場での工夫も重要になります。
この記事では、会社員としてダブルケアを行う方が、職場で時間を作り、周囲と良好な関係を保ちながら負担を軽減するための具体的なヒントをご紹介します。
職場で時間を作るためのコミュニケーションのヒント
職場での円滑なコミュニケーションは、ダブルケアと仕事を両立させる上で非常に重要です。適切な情報共有を行うことで、理解を得やすくなり、急な対応が必要になった際にもスムーズな連携が可能になります。
1. 職場への情報共有を検討する
ご自身の状況をどこまで、誰に伝えるかは難しい判断ですが、信頼できる上司や同僚には、ダブルケアの状況をある程度共有することを検討してみましょう。具体的にどのような状況か、どのような時に時間の制約が発生する可能性があるかを伝えることで、周囲の理解を得やすくなります。
- 伝えるべき内容: 差し支えない範囲で、親御さんの介護状況(必要なケア、通院頻度など)やお子さんの状況(大学生であれば、試験期間や就職活動の時期など)に触れる。ご自身がどのような時に時間的な制約を感じやすいか(例: 週に一度の通院で〇曜日の午後が手薄になりやすい、急な体調不良で早退の可能性があるなど)を具体的に伝えると、周囲も状況を把握しやすくなります。
- 伝える相手: まずは直属の上司に相談するのが一般的です。職場の雰囲気によっては、チームメンバーにも共有することで、チーム全体でのサポート体制を築ける場合があります。
- 伝えるタイミング: 人事異動やプロジェクトの開始時など、業務体制の見直しのタイミングで相談しやすいかもしれません。普段からこまめにコミュニケーションを取っておくことも大切です。
2. 事前に業務調整の可能性について相談する
介護や子育ての予定(通院、学校行事など)が事前に分かっている場合は、早めに上司や関係部署に共有し、業務の調整や引き継ぎについて相談しましょう。これにより、業務に支障が出ることを最小限に抑えられます。
- 相談内容: 〇月〇日に通院があるため午後休を希望したい、この期間は親の状況によりリモートワークを増やしたい、など具体的に相談します。
- 代替案の提示: ご自身で考えられる業務の調整案や、不在時の対応策などを事前に用意しておくと、相談がよりスムーズに進みます。
仕事のタスク管理と連携で時間を作る
職場で効率的に業務をこなすことは、介護や子育てに充てる時間を確保することに直結します。タスク管理や周囲との連携を見直してみましょう。
1. 業務の優先順位を明確にする
限られた時間の中で成果を出すために、業務に優先順位をつけましょう。重要度や緊急度に応じてタスクを整理することで、効率的に時間を使えます。
- タスクのリストアップ: 抱えている業務をすべて書き出してみることから始めましょう。
- 優先順位付け: 「重要かつ緊急」「重要だが緊急でない」「緊急だが重要でない」「重要でも緊急でもない」などの区分けを行い、対応順序を決めます。
- 時間を見積もる: それぞれのタスクにかかるおおよその時間を見積もることで、現実的なスケジュールを立てやすくなります。
2. 周囲への協力依頼と業務の分担
一人で抱え込まず、可能な業務は同僚に依頼したり、チーム内で分担したりすることも検討します。日頃から協力関係を築いておくことが重要です。
- 依頼する際のポイント: 依頼する業務の目的、必要な情報、期限などを明確に伝えましょう。感謝の気持ちを伝えることも忘れずに。
- お互い様の精神: ご自身が手が空いた時には、快く同僚の業務をサポートするなど、お互いに助け合う姿勢が大切です。
職場の制度や隙間時間を活用する
会社には、ダブルケアを助ける様々な制度があるかもしれません。また、仕事の合間の隙間時間も有効活用できます。
1. 利用できる社内制度・公的制度を確認する
勤務先の会社に、短時間勤務制度、フレックスタイム制度、リモートワーク制度、介護休暇、子の看護休暇などの制度があるか確認しましょう。これらの制度を上手に活用することで、時間的な融通がききやすくなります。
- 情報収集: 就業規則を確認したり、人事担当者に相談したりして、利用できる制度やその条件について正確な情報を得ましょう。
- 介護休業・介護休暇: 法的に定められた制度ですが、会社の規定を確認し、必要に応じて利用を検討します。
2. 職場の隙間時間を活用する
通勤時間や休憩時間、業務の合間の数分間も、介護や子育て関連のタスクに活用できる場合があります。
- 通勤時間: メールチェック、情報収集、連絡事項の整理など。
- 昼休憩: ケアマネジャーへの電話連絡、施設の空き状況確認、介護サービスの情報収集など。
- 業務の合間: 親御さんや子どもへの短い連絡、書類の確認、支払い手続き(オンライン可能なもの)など。
ただし、職場の休憩時間は心身を休めるための時間でもあります。すべてを介護・子育て関連のタスクに充てるのではなく、適切に休息を取ることも忘れないでください。
職場の理解を得て継続可能な両立を目指す
ダブルケアと仕事の両立は長期にわたる可能性があります。無理なく続けるためには、職場の理解と協力が不可欠です。日頃からの丁寧なコミュニケーションと、ご自身の状況に合わせた柔軟な働き方を模索することが、時間確保と負担軽減につながります。
この記事でご紹介したヒントが、会社員としてダブルケアを乗り切るための一助となれば幸いです。ご自身の状況に合わせて、できることから少しずつ取り入れてみてください。