忙しいダブルケアに効く!きょうだい・親戚との介護連携を時短する具体策
はじめに:家族との連携、時間の負担になっていませんか
介護と子育てを同時にこなすダブルケアは、日々のタスクに追われ、時間的な余裕を持つことが難しい状況です。特に、きょうだいや親戚など複数の関係者で介護を分担している場合、情報共有や連携に時間がかかり、それが大きな負担となることがあります。
「あの件、お兄さんに伝えたっけ?」「前に話したはずなのに、また同じことを聞かれた」「誰がいつ病院に連れて行くか、調整に時間がかかる」など、家族間でのコミュニケーションが非効率だと、確認や調整に多くの時間を費やすことになります。
この記事では、そうしたきょうだいや親戚との介護連携にかかる時間を短縮し、ダブルケアの負担を軽減するための具体的なアイデアをご紹介します。情報共有のルール作りから、便利なツールの活用、そして円滑なコミュニケーションのための工夫まで、すぐに実践できる方法を取り上げます。
家族間の介護連携で時間がかかる主な理由
なぜ、家族間での介護連携に時間がかかってしまうのでしょうか。主な理由を理解することで、効果的な時短策が見えてきます。
- 情報伝達の遅れや漏れ: 口頭での伝達が中心だったり、特定の誰かに情報が集中したりすると、必要な人に必要な情報がすぐに届かないことがあります。
- 情報の一元化不足: 介護に関する情報(ケアプラン、医療情報、お金のことなど)がそれぞれの家族でバラバラに管理されていると、確認や共有に手間取ります。
- 連絡手段の非効率さ: 電話や個別のメッセージのやり取りだけでは、全員への一斉連絡や履歴の確認が難しくなります。
- 役割分担の曖昧さ: 誰が何を مسؤولするのかが明確でないと、誰に聞けばいいか分からず、確認のやり取りが増えます。
- 意見のすれ違い: 介護に対する考え方や関わり方に違いがあると、調整に時間がかかることがあります。
これらの課題を解決するために、情報共有と連携の方法を見直すことが、ダブルケアにおける家族との連携を効率化し、時間的負担を軽減する鍵となります。
連携を時短する具体的なアイデア
1. 情報共有の「場」と「ルール」を決める
まずは、家族間で介護に関する情報を共有するための「場」と、そこに投稿する「ルール」を決めましょう。
- 情報共有の場:
- メッセージアプリのグループチャット: LINE、Facebook Messengerなどのグループ機能は、手軽に始めやすく、多くの人が利用しているため便利です。全員が参加できるグループを作成します。
- オンラインストレージ: Google Drive、Dropboxなど、インターネット上でファイルを共有できるサービスです。ケアプランの書類や領収書、診断書などのデータを一元管理し、必要な人がいつでもアクセスできるようにします。
- 情報共有のルール:
- 報告の頻度と内容: 例:「週に一度、〇曜日夜に簡単な近況報告をする」「病院受診後は、必ず結果をグループに投稿する」など、報告する内容と頻度を決めます。
- 緊急連絡の方法: 急変時など、すぐに連絡が必要な場合の優先的な連絡方法(例:電話、特定のグループへの投稿など)を決めておきます。
- 情報の種類ごとの分類: どのような情報をどこに共有するか(例:日々の様子はチャット、重要な書類はオンラインストレージ)を明確にします。
- 決定事項の記録: 家族会議などで決定した重要な事項は、議事録として簡単にまとめ、共有の場に記録しておくと、後からの確認漏れを防げます。
2. 共有カレンダーを活用する
親の通院、訪問介護の予定、家族が面会に行く日など、関係者全員が把握しておくべきスケジュールは多岐にわたります。これを共有カレンダーで一元管理することで、個別に確認する手間が省けます。
- 共有カレンダーアプリの活用: GoogleカレンダーやOutlookカレンダーなど、インターネット経由で複数のユーザーが同じカレンダーを閲覧・編集できる機能を持つアプリを利用します。
- 記載内容の統一: 誰の、何の予定か(例:「母:〇〇病院受診(〇〇さん付き添い)」)、時間、場所、付き添い担当者などを具体的に記載するルールを決めます。
- 閲覧権限の設定: 必要に応じて、家族以外(ケアマネジャーなど)にも閲覧権限を付与することを検討します。
これにより、「いつ、誰が、何をするのか」が一目で把握できるようになり、調整にかかる時間を大幅に削減できます。
3. 役割分担を明確にし、見直す
介護のタスクを家族で分担している場合、誰がどの役割を担うのかを明確にすることが重要です。そして、その役割分担は固定せず、状況に応じて見直す機会を設けることも必要です。
- 担当タスクの具体化: 例:「長男:金銭管理と行政手続き」「長女:通院の付き添いと薬の管理」「次女:週に一度の訪問と買い物」など、具体的なタスクと担当者をリストアップします。
- 「連絡窓口」の一本化: 外部(ケアマネジャー、医療機関、サービス事業者など)との主要な連絡窓口を一人に決めると、それぞれの家族が個別に問い合わせる手間が省け、情報伝達の二重手間を防げます。連絡窓口となった人が、受けた情報を先の共有の場に投稿します。
- 定期的な話し合い: 家族会議などを定期的に行い、現在の役割分担に無理がないか、変更が必要かなどを話し合います。オンライン会議ツール(Zoom, Skypeなど)を使えば、離れて暮らす家族も参加しやすくなります。
役割分担が明確になれば、「これは誰に聞けばいいのだろう?」と迷う時間が減り、スムーズな連携につながります。
4. デジタルツールを上手に活用する
前述のメッセージアプリや共有カレンダー以外にも、介護連携に役立つデジタルツールはいくつかあります。
- 介護情報共有アプリ: 介護に特化した情報共有アプリも存在します。日々の様子、服薬記録、受診記録などを、時系列で写真付きで共有できる機能を持つものもあります。家族だけでなく、サービス事業者との連携に使えるものもあります。
- オンラインストレージでの書類共有: 介護関連の書類(ケアプラン、医療費の領収書、自治体からの通知など)をスキャンしてオンラインストレージに保管・共有します。物理的な書類を探す手間が省け、必要な時にどこからでもアクセスできます。
新しいツールを導入する際は、家族全員が使えるか、操作は難しくないかなどを考慮し、無理のない範囲で始めることが大切です。
5. コミュニケーションの質を高める工夫
情報のやり取りを効率化するだけでなく、家族間のコミュニケーションの質を高めることも、連携にかかる時間や精神的な負担を減らす上で重要です。
- 「報・連・相」の意識: ビジネスシーンだけでなく、家族間でも報告・連絡・相談を意識することで、情報伝達の漏れや認識のずれを防ぎます。
- 感情的にならない伝え方: 介護の状況や家族の関わり方について、意見が異なることもあるでしょう。感情的にならず、事実に基づいて、建設的な話し合いを心がけることで、無駄な衝突やその後の修復にかかる時間を避けることができます。
- 感謝の気持ちを伝える: 家族がそれぞれの立場で介護に関わってくれていることに対し、感謝の気持ちを言葉で伝えることも、円滑な連携を維持する上で非常に効果的です。
まとめ:連携効率化で時間と心のゆとりを
きょうだいや親戚との介護連携を効率化することは、ダブルケアで限られた時間をやりくりする上で、非常に有効な時短策です。情報共有の場とルールを決め、共有カレンダーでスケジュールを一元管理し、役割分担を明確にすることで、無駄なやり取りや確認にかかる時間を大幅に削減できます。
メッセージアプリやオンラインストレージ、介護情報共有アプリなどのデジタルツールも、上手に活用すれば強力な味方になります。また、円滑なコミュニケーションを心がけることも、見えない時間や精神的な負担を減らす上で重要です。
これらのアイデア全てを一度に実践する必要はありません。まずは家族で話し合い、できることから一つずつ試してみてはいかがでしょうか。家族間の連携がスムーズになることで、介護にかかる時間だけでなく、心にもゆとりが生まれることでしょう。