ダブルケアの時間を有効に使う 親とのコミュニケーション効率化術
ダブルケアにおける親とのコミュニケーションの課題
介護と子育てを両立するダブルケアは、時間に追われる日々です。特に、離れて暮らす親御さんとのコミュニケーションや、一緒に暮らしている場合でも限られた時間の中での関わりは、時間的、精神的な負担となり得ます。安否確認、体調の確認、手続きの相談、日々の出来事の共有など、コミュニケーションの内容は多岐にわたり、これらを効率的にこなすことは、ダブルケア全体の負担軽減につながります。
しかし、どのようにすれば、親との大切な時間を確保しつつ、効率的なコミュニケーションを実現できるのでしょうか。ここでは、ダブルケアの状況で時間を有効に使い、親御さんとのコミュニケーションを効率化するための具体的な方法をご紹介します。
コミュニケーションの目的と優先順位を明確にする
まず、親御さんとのコミュニケーションにおいて、その目的を明確にすることが重要です。
- 安否確認
- 体調・健康状態の確認
- 服薬状況の確認
- 食事や水分摂取状況の確認
- 手続きや今後のことに関する相談
- 日常生活に関する情報交換
- 精神的なサポート、会話
これらの目的を整理し、その日のコミュニケーションで最も確認すべきこと、伝えたいことの優先順位をつけておきましょう。これにより、会話が脱線することを防ぎ、短時間でも必要な情報を確実に得たり伝えたりすることができます。
電話を効率化する工夫
電話は手軽なコミュニケーション手段ですが、時間が長くなりがちな一面もあります。電話を効率的に行うための工夫を取り入れましょう。
- 用件をまとめておく: 電話をかける前に、確認したいことや伝えたいことをメモしておくとスムーズです。
- 時間を決めておく: 可能であれば、あらかじめ「何時頃に電話します」「10分だけ話せます」などと伝えておくことで、双方に時間の意識が生まれます。
- 定期的な時間を設定する: 例えば、「毎日〇時頃に短時間で電話する」という習慣をつけると、親御さんも予測でき、効率的になります。
- 質問は具体的に: 「調子はどう?」だけでなく、「昨日の夜はよく眠れましたか?」「今日の食事は完食できましたか?」など、具体的な質問をすることで、状態を把握しやすくなります。
オンラインツールを活用する
親御さんの状況や環境が許せば、オンラインツールはコミュニケーション効率化に非常に有効です。
- ビデオ通話: スマートフォンやタブレットを使ったビデオ通話は、顔を見ながら話せるため、声だけでは伝わりにくい細かな変化に気づきやすくなります。親御さんの表情や部屋の様子を確認する安否確認としても機能します。設定や操作が簡単なツールを選び、使い方を一緒に練習すると良いでしょう。
- メッセージアプリ: 写真や短い動画を送ることで、文字だけでは伝わりにくい情報(例: 食事の写真、今日の様子の写真)を共有できます。また、複数の家族間での情報共有ツールとしても便利です。
- 共有カレンダーやノート: 家族間で親御さんの通院予定や介護サービスの利用状況、気づいたことなどを共有するのに役立ちます。情報伝達の重複を防ぎ、全員が最新の情報を把握できます。
訪問時の効率化
実際に親御さんの元を訪れる際は、限られた時間の中で目的を達成できるよう計画的に行動することが大切です。
- 訪問の目的を決める: ただ顔を見に行くだけでなく、「〇の手続きに必要な書類を探す」「冷蔵庫の中身を確認する」「簡単な掃除を手伝う」など、具体的な目的を持って訪問します。
- 事前に段取りを考える: 訪問時間内で何をするか、どの順番で行うか、必要なものは何かを事前にリストアップしておくと、現地での時間のロスを減らせます。
- 他の家族やサービスとの連携: 訪問時にしかできないことと、他の家族や介護サービスに任せられることとを区別し、役割分担を意識すると効率的です。
第三者を介した情報伝達の活用
ケアマネージャーやヘルパー、地域包括支援センターの職員など、親御さんに関わる第三者からの情報を適切に活用することも、効率化につながります。
- 連携体制の構築: ケアマネージャーに親御さんの日々の様子を定期的に報告してもらう、サービス利用時の様子をヘルパーから聞くなど、専門職からの情報を得る仕組みを作ります。
- 情報共有の円滑化: 必要に応じて、これらの専門職と家族間で情報共有する機会を持つことも重要です。
コミュニケーション記録のシンプル化
親御さんの体調や様子の変化、サービス利用時の状況などを記録しておくことは、今後のケアを考える上で非常に役立ちます。しかし、詳細な記録は手間がかかります。
- 記録の目的を絞る: 何のために記録するのか(例: 受診時に医師に伝えるため、サービス内容を把握するため)を明確にし、必要な情報だけを記録します。
- 簡単なメモや写真の活用: 細かい文章ではなく、日付、時間、簡単な要点、必要であれば写真を撮るなど、手軽な方法で記録します。メッセージアプリのグループ機能を共有記録としても活用できます。
まとめ
ダブルケアにおいて、親御さんとのコミュニケーションは心身両面での大切な支えですが、その時間を捻出することは大きな課題です。今回ご紹介したような、コミュニケーションの目的明確化、電話やオンラインツールの活用、訪問時の計画的な行動、第三者との連携、記録のシンプル化といった工夫を取り入れることで、限られた時間の中でも効率的かつ質の高いコミュニケーションを実現することが可能です。
これらの時短テクニックを実践することで、ダブルケアの負担を軽減し、ご自身の時間も確保しながら、親御さんとのより良い関係性を維持していくことができるでしょう。ご自身の状況や親御さんの状態に合わせて、できることから少しずつ試してみてはいかがでしょうか。